ヨシ原

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ヨシ原ってなんだろう?

ヨシは、イネ科の大型の多年生草本であり、アシ(葦)とも呼ばれる。ヨシは、生物学的に分けると、ヨシ、ツルヨシ、セイタカヨシに分類される。ヨシは、湖沼や河川の水辺に生え、通常水面から±50cmのところに多く生えており、塩分が海水の半分くらいの河口でも生育できる。ツルヨシは、河川などに生えている。セイタカヨシは、水辺より少し高いところに生えている。

ヨシ原は、こうしたヨシが集まってできた原っぱのこと。ヨシ原には、ヨシだけでなく、マコモやガマなどの抽水植物(水底に根を張るが、茎や葉が水面に出ている植物)、また湖沼などの水面下にはアサザやヒシ、バイカモやクロモなどの浮葉・沈水植物などの生育しており、そうした空間が様々な生き物の生活場、魚介類の産卵場・保育場になっている。琵琶湖ハンドブックによると、琵琶湖の在来魚約60種の半数以上がヨシ原を利用していると報告され、驚きである。


ヨシ原の役割

ヨシ原は、魚介類やヒトにいろいろな「恵み」を与えており、現在、注目されている。


ヨシ原の7つの役割

  1. 多様な生物の生息・生活場
    • 魚介類の餌となるヨコエビなどの様々な小型の動物が生息
    • 様々な魚介類の生活場
  2. 魚介類を育む
    • コイやフナ、モロコなど様々な魚介類の産卵場
    • 様々な魚介類の子どもが育つ場所
  3. ヒトをやしなう
       
    • 私たちが食べるコイやフナ、ワカサギ、シジミなどの魚介類を育む
    •  
    • 葦簀(よしず)や屋根の材料、椎茸などの栽培具、腐葉土などの肥料
  4. 水の環境を整える
    • 水の流れを弱め、懸濁粒子などの水の汚れを沈める
    • 水中のヨシの茎などに生息する微生物による水中や水底上の有機物を分解
    • 水中の窒素やリンなどの栄養塩類を吸収・滞留し、循環させる
  5. 岸をまもる
    • 沖からの波を弱め、岸をまもる
  6. 癒し・学びの場
    • ヨシ原がつくる景観は、昔からヒトのこころを癒す
    • 環境学習の場
  7. 環境変化のバロメーター
    • 底質の還元性や砂の流出・供給バランスなどの長期的な環境変化のバロメーター

ヨシ原の現状

琵琶湖のヨシ原(マコモなども含む抽水植物帯)は、1953年から1992年の約40年間で、261haから128haへと半減した(参考:滋賀県資料)。また、霞ヶ浦のヨシ原(マコモなども含む抽水植物帯)は、1972年から2002年の30年間で、432haから159haへと約6割減少した(参考:茨城県資料)。また、河口域や河川流域のヨシ原も、近代になって、ヒトの生活が河川の氾らんする空間(氾らん原という)に及ぶようになり、直接埋め立てられ、大きく減少したことが容易に想像できる。

私たちの生活圏の拡大、私たちの飲み水の確保、私たちを川の洪水からまもるために、ヨシ原が埋め立てられたりするなど、ヨシの生育圏が狭められた。こうした犠牲のもと、私たちの生活が成り立っていることを忘れてはならない。


ヨシ原とヒトとの共生

ヨシ原は、かつてヒトの生活の密着していた。茅葺きの屋根が葺かれていた頃は、屋根材として利用され、また葦簀(よしず)や肥料としても利用されてきた。また、琵琶湖では、よしまき網と呼ばれるヨシ原を利用した漁業も行われていた。しかし、私たちの生活スタイルの変化にともない、ヨシとヒトとのかかわりは希薄になってきた。

現在、ヨシ原がもたらす様々な役割が見直されている。そうした中、行政や市民グループ、地域住民、また漁師たちの間で、ヨシ原をまもる活動やヨシを管理・維持しながら有効に利用し、私たちの生活の中で循環させる取り組みが広がってきている。また、こうした取り組みによって、琵琶湖では、2007年までに40haのヨシ原が回復してきている(参考:滋賀県資料)。


ヨシ原を再生し、豊かな海や湖沼を次の世代につなごう

ヨシ原は、私たちが生活する空間のすぐそばにある。そのため、私たちの生活による影響を川などを通じて強く受ける。ヒトとのかかわりが希薄になってきたヨシ原・・・しかし、さまざまな生き物を育み、水環境を整えるなど、私たちにとって決して無視できない貴重なヨシ原。ヨシ原で育まれるコイやフナなどをあまり食べなくなった現代。しかし、おせち料理やお祝いごとには、欠かせない食材。また、ワカサギやシジミは、現在も食卓に並ぶ食材の一つ。そうしたヨシ原で育まれた魚介類を探してみよう!興味をもったら、河口や川や湖に行って、ヨシ原をみてみよう!そして、ヨシ原での生き物のにぎわいを肌で感じてみよう!何もできなくても、自分の地元の浜であがる魚や貝を食べ、地元の水辺のファンになろう!

(主な参考書)
琵琶湖ハンドブック(滋賀県,2007)
環境・生態系保全活動の手引き(水産庁,2009)